勉強が「解らない」「苦手」はなぜ起きる?
- Nobuyuki Kamiya
- 8月23日
- 読了時間: 5分
小・中学生に限らず、多くの学習者が抱える「解らない」から「苦手」へと至る負のサイクル、その根源的な要因の一つが「馴染みのない言葉や概念」にあると言えるでしょう。
加古川優考塾では、勉強が「解らない」「苦手」というお子さんを「解った」という成功体験に変えていくために、根本的な要因を検討し、一緒にクリアしていきます。
そのためにまずは根本的な要因を考察し、具体的な解決策を探ります。
以下に考察をまとめてみます。
なぜ「馴染みのない言葉」が躓きの要因になるのか?
人間が何かを新しく学ぶとき、全くのゼロから理解しているわけではありません。すでに持っている知識や経験(スキーマと呼ばれます)に、新しい情報を結びつけて理解を構築していきます。
しかし、馴染みのない専門用語や抽象的な概念は、既存の知識に結びつけるための「とっかかり」がありません。そのため、学習者にとっては以下のような状況が生まれます。
認知的な負荷が高い: 言葉の意味を一つひとつ処理するだけで脳のワーキングメモリが一杯になり、本来理解すべき内容(全体の文脈や論理)にまで注意が向かなくなります。
イメージが湧かない: 例えば数学の「関数」や理科の「イオン」という言葉を聞いても、具体的なイメージが頭に浮かばず、宙に浮いた記号としてしか認識できません。これにより、面白さや興味を感じにくくなります。
心理的な壁が生まれる: 「自分の知らない言葉ばかりだ」「難しそうだ」と感じた瞬間に、心理的な抵抗感が生まれ、思考が停止してしまいます。これが「苦手意識」の始まりです。
教科別に見る「馴染みのない言葉・概念」の例
この問題は多くの教科に共通しています。
数学: 「変数」「定数」「因数分解」「証明」「必要十分条件」など。一つひとつの言葉の定義が厳密で、日常会話とのズレが大きい。
国語(特に古文・漢文): 文法用語(未然形、連用形など)はもちろん、当時の価値観や文化に基づいた単語が多く、現代の感覚では理解しづらい。
理科: 「光合成」「飽和水蒸気量」「慣性の法則」「中和」など、現象を説明するための抽象的な用語が非常に多い。
社会: 「摂関政治」「荘園公領制」「立憲主義」「需要と供給の法則」など、歴史的背景や社会システムを理解していないと意味が分からない言葉が多い。
英語: 「現在完了形」「不定詞」「関係代名詞」といった文法用語。その用語が示す「感覚」や「ニュアンス」を掴めないと、単なる暗記になってしまう。
「馴染みを作る」ための具体的なアプローチ
では、どうすれば言葉や概念に馴染むことができるのでしょうか。指導者(教師や講師、保護者)と学習者本人、両方の視点から考えてみます。
指導者・保護者ができること
「たとえ話」を積極的に使う: 学習者の身近なものに置き換えて説明する。「関数は、何かを入れると決まったものが出てくる自動販売機のようなもの」「イオンは、電気を帯びてやんちゃになった原子」など。
言葉の「語源」や「成り立ち」を伝える: 例えば、「変数(variable)」は "vary"(変わる)できる数、「定数(constant)」は "con"(常に) "stant"(立つ)数、といったように語源を教えることで、言葉のイメージが具体的になります。
図やイラスト、具体物を見せる: 抽象的な概念は、視覚情報に落とし込むことで格段に理解しやすくなります。図解したり、簡単な実験を見せたりすることが有効です。
本格的な学習の前に「プレ学習」を行う: 新しい単元に入る前に、そこで出てくる重要語句だけをリストアップし、クイズ形式で意味を調べさせたり、その言葉を使った簡単な文章を作らせたりする。いわば「言葉の準備運動」です。
「知的好奇心」を刺激する: 「この言葉、実はこんなところで使われているんだよ」と、アニメやゲーム、日常の出来事と結びつけてあげることで、言葉への親近感を育てます。
学習者本人ができること
「わからない言葉」を放置しない意識: 教科書を読んでいて知らない言葉が出てきたら、まず印をつける癖をつける。すぐに調べられなくても、「自分はこれを分かっていない」と認識することが第一歩です。
自分だけの「言葉ノート」を作る: 新しく知った言葉と、その意味を「自分の言葉で」説明して書き留めておくノートを作る。他人に説明するつもりで書くと、理解が深まります。
多様な情報源に触れる: 教科書だけで理解しようとせず、図鑑、学習マンガ、YouTubeの解説動画など、様々なメディアを活用する。同じ内容でも、表現方法が違うとすんなり理解できることがあります。
結論
「解らない」から「苦手」への移行を防ぐ鍵は、学習内容との心理的な距離を縮めることにあります。その最も効果的な第一歩が、言葉や概念と「友達になる」、つまり馴染み深いものにしてあげることです。
いきなり数式や長文を理解させようとするのではなく、まずはその世界で使われている「言葉」というチケットを学習者に手渡してあげる。そうすることで、彼らは安心してその世界の探求を始めることができます。
「解らない」から「面白い」への転換は、言葉と仲良くなることから始まるのかもしれません。非常に本質的なことなので、加古川優考塾ではこうした生徒さんの根本要因を検討、分析し、「解った」を積み重ね、学力・成績アップや今後の学習姿勢を良い方向に構築していきます。
お子様にとって最高の学習環境を提供できるよう、スタッフ一同、日々精進してまいります。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度、お気軽に教室見学にお越しください。
お子様の未来を拓く第一歩を、当塾で踏み出しましょう!




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